俳優座劇場で俳優座の講演を見てきました(ややネタバレあり)

授業で外国の演劇に関することをやっている関係で、
特別価格で見ることが出来たため、迷わず行くことを決意。
しかも、前から2列目の真ん中くらいの席が取れて、もしかしたら招待席扱い?
と、若干緊張気味で現地へ向かったのでした。
劇の題目は「金魚鉢の中の少女」
劇作家であり俳優でもあるモーリス・パニッチによる、
ブラックユーモア満載のコメディの日本語版。
あらすじはこんな感じです。


舞台はカナダの海沿いにある田舎町。
そこに住むおませな少女アイリス。
ある日かわいがっていた金魚のアマールが死んでしまった。
そんな折、母シルビアが父オーエンを見限り、家を出て行くことを決意。
その時はシルビアがかばんにつまずいて手首を骨折したため、
未遂に終わってしまったが、気持ちが大きく変わったわけではない。
家族崩壊を食い止めなくては!
そう思っていた矢先、彼女は浜辺から一人の青年を連れてくる。
ローレンスという素性もよくわからない男だが、アイリスは確信していた。
ローレンスは死んだ金魚アマールの生まれ変わりで、
崩壊しかかった家族を救うためにやってきたのだと。
同居人の熟女ローズも加わり、事態はあらぬ方向へ転がっていく・・・
とまあ、なんとも突拍子も無い発想を繰り出す少女が中心のお話でした。
劇中彼女は、延々と持論を繰り出し、周りを困惑させます。
しかし、ローレンスが登場してからは、少し流れが変わるんです。
ローレンスが、彼女の話を気に留め、そのことに両親が絡んでくるから。
今までは、一方通行だった彼女の話も、ローレンスを介することで、
別の形が出来上がってくる。コミュニケーションが出来てくるんです。
かといって、母と父の関係が良好になるわけではなく、
母は不思議な魅力を持つローレンスに、
父に対してのもの以上の感情を抱くようになり、
父はそんな様子に嫉妬し、ローレンスに出て行くようののしり、
精神異常者ではないかとも疑う。
ローズはローズで、彼を誘惑したりもしつつ、
拙いしゃべり方からロシアからのスパイではないかと疑う。
アイリスはそんな大人の考えを傍目で見ながら、
彼がアマールの生まれ変わりで、この状況を変えてくれると信じて疑わない。
そんな状況がしばらく続いた後、ローレンスはいなくなってしまいます。
すると、複雑な状況が生まれていたアイリスの環境は、
いったいどうなったでしょうか?
その結末に、話のすべてが集約されているように思えます。
それまで、コメディの部分が大きく目立っていたせいもあり、
不意打ちを食らった感じはしましたね。
最後まで気を抜かずに楽しめる作品でした。
やっぱり演劇は月に1回くらいは見に行きたいものです。