菊花賞回顧

逃げるといっていたサンディエゴシチーがシンガリ付近を追走し、
トウカイメロディも序盤から中盤にかけての位置取りが悪かったりと、
戦前予想された展開にはならなかった今年の菊花賞
それでもこれまでのレースで全て逃げているコスモラピュタが逃げ、
最初の1000Mは61秒ジャストの時計を刻んだ時は、
よどみなく行くのかなと思ったのですが、
向正面に向かっていく過程でグッとペースを落とし、
次の1000Mは64秒5で2000Mを2分5秒5という流れ。
昨年のリーチザクラウンが刻んだペースが59秒9→63秒2で2000M2分3秒1。
前半から中盤で落ち込んだ時計差は同じくらいなんですが、
全体では2秒4も違うペース。
ところが2番手追走のカミダノミと差は、向正面ではより広がっていました。
これはコスモラピュタ以上にカミダノミがペースダウンしたことが、
後続勢に大きく影響を与えてしまったように思えます。
ビッグウィークが1600〜1800Mの時点で2番手に上がっていますが、
前に並びに行くほど差をつめたわけではなく、
逃げ馬との差をはかりつつ、仕掛けどころを見計らっている感じでした。
ビートブラックがビッグウィークをマークする形でついていき、
トレイルブレイザーが馬群を縫うように上がっていきましたが、
その他の馬たちはこの間隊列をほとんど変えずに直線を向くことになります。
この段階でコスモラピュタとビッグウィークの差は5馬身くらいでしたが、
差は徐々に詰まり、残り100Mで捕らえると後続の追い上げを振り切ってゴール。
前走の神戸新聞杯は、団子の超スローペースでやや消極的な競馬をして、
上位2頭に切れ負けしたビッグウィークでしたが、
今回は坂の下りで積極的に動き、直線で逃げ馬を射程圏に入れるレース。
ペースが上がらなかったため、期待した持久力勝負にはならなかったものの、
逃げ馬との距離を最後まではかって仕掛けたことが、
縦長になった展開の中では功を奏しました。
勝ち時計の3分6秒1は、お世辞にもいいとはいえませんが、
小雨交じりの天気でしたから、多少考慮できる気もします。
評価しない人たちを黙らせるには、今後のレースで結果をだすしかありませんね。
ローズキングダムは普段より後ろの位置取りから徐々に進出して、
直線もよくのびたのですが、前走でビッグウィークより0.8早かった
上がり3ハロンの時計が、今回は0.5しか詰まらず。
この0.3差が、そのまま着差に繋がった感じですね。
ここは阪神2400Mと京都3000Mの違いがそのまま現れたのだと思います。
ただ、武豊騎手の騎乗への評価は賛否両論で、否定的な人たちの多くからは、
「なぜもっと前にいかなかったのか」
「もっと早く仕掛るべきだった」という趣旨の声が上がっています。
柏木集保のレース回顧にいたってはそれはもうボロクソですが、
正直、逃げ馬や勝馬のことを過小評価していますよね。
ユタカ騎手はベストまではいかなくとも及第点の競馬はしており、
それを上回る競馬をしたのが川田騎手だったというだけでしょう。
ビートブラックは道中3、4番手追走からそのまま流れ込み3着。
終始ビッグウィークを見ながら競馬をしていたことが大きかったですが、
中長距離に矛先を変えてから、レース内容は1戦ごとによくなっており、
今回もビッグウィークと同じ上がりでこれていることから、
ステイヤーの血が目覚めてきたのかなと。
陣営は当初短距離に適正があると思い、
クラシック登録をしてなかったそうですが、
長い距離で適正をみせたことから追加登録料200万円を払って出走。
その甲斐あって計4000万近い賞金を得ることができました。
4着のレーヴドリアンはあっと驚く(といっては失礼ですが)好スタートで、
一時は5番手を追走する場面もあるほど。
福永騎手だと行きっぷりが良くなるんでしょうか(笑)
ただ、2周目3,4コーナーにかけてやや窮屈な競馬で、
直線も思ったほどはのびず。
前走同様、前に行くとのびきれない感じなので、
これからも試行錯誤が続きそうです。
5着のコスモラピュタは、うまく逃げたのですがあと100Mで失速。
菊花賞を逃げ切るまでの力はなかったようですが、
今回のレースを面白くしたのは間違いなくこの馬です。
人気どころでは、ヒルノダムールは内で積極的に動けず、
ローズキングダムより後ろから追い込むことになってしまい、
騎手も反省の弁を述べる結果に。
この馬にとっては内枠が災いしたんでしょうが、
積極的に動けない弱みが相変わらずあることも露呈してしまいました。
クォークスターは、かつてのレーヴドリアンみたいな競馬で、
上がり最速でやってきているんですが、
菊花賞でそれを決めるにはよほど流れが向かないと厳しいでしょう。
本来もっと先行できるはずなんですけどね。
2勝目を上げて以降、どうも位置取りが後ろになってしまっています。
トウカイメロディは押してもなかなか上がっていけず、
直線でも伸びを欠きました。北海道で3戦、内2戦はOPでしたから、
連戦の疲れがもしかしたらあったのかもしれませんね。
世間的には、今回の菊花賞はいわゆる「クソレース」だという声もあるようですが、
09エリ女のように、離れたところにいた馬が無策だったり、
10ダービーや神戸新聞杯のように、先行馬がグダグダだったわけではなく、
番手の馬がちゃんと逃げ馬との差をはかりながら勝負にいっていますし、
逃げ馬自身も最後までレースを演出しましたから、
見ている分には面白かったんですけどね。
馬券が半端に当たっている手前、馬券は関係なく面白かった
といっても説得力がなくなるのが困り者ですが…